ゼウスの物語D
ギリシャの洪水


Minga Andrea del「Deucalion and Pyhra」
 ヘシオドスは人間は5つの時代を経てきたと伝える。最初は神々のような生活を送る「黄金の種族」、次が「銀の種族」、ゼウスが治めたのは「青銅の種族」。
 この一族は戦闘好きで残酷だったので、ゼウスは嘆いた。
 どうにも救いようがないので、ゼウスは彼らを滅ぼそうと画策した。
 ゼウスは青銅の人間を抹殺するため、大洪水を起こした。
 ある日、雷鳴とともに神々の怒りそのものの大雨が世界を襲った。家々も木々も水没し、人間たちは高みに逃げる前に溺死した。
 しかし、この洪水から逃れた人間たちがいた。
 プロメテウスの子 「デウカリオン」と、エピメテウスとパンドラの娘「ピュラ」。二人は夫婦だ。

 

 デウカリオンは先見の明がある父プロメテウスに、予め洪水があることを知らされていたので、妻とともに大きな箱舟を作って脱出の準備をしていた。
 夫婦は九日九夜、嵐の中を彷徨い、パルナッソス山の頂きに着いた。
 山の山腹にはゼウスの2度目の妻だった掟女神の「テミス」の神殿があった。
 二人は神の加護に感謝すると共に、世界に人間が二人きりになってしまった寂しさを切々と訴えた。
 この二人はプロメテウスとエピメテウスの子だが、全くのか弱い人間だったらしい。
 あまりに荒涼としてしまった大地を見て、テミスは二人に同情して、新しい人間を創る知恵を授ける。
「おまえたちの母の骨を歩きながら、大地に投げよ」
 という神託をテミスは下して、姿を消した。
 この言葉にピュラは驚いた。
 ピュラの母はパンドラだが、その母の骨を投げるなんてとても親不孝な事は出来ないと嘆いた。
 プロメテウスの子デウカリオンは幾らか賢明だった。
 母の骨とは、母なる大地に転がる石だと思い、妻を励ます。こうして二人は石を拾い、背後に投げる。
 デウカリオンが投げた石は男になり、ピュラが投げた石は女になった。
 こうして、 地上にまた人間たちがあふれるようになった。
 そして夫婦の間にも子が出来て、そのうちの一人「ヘレン」はギリシャ人の祖となったという。

 

続く

 

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