ペルセウスの物語1
母ダナエに纏わる不吉な予言


エドワード・バーン=ジョーンズ「ダナエと真鍮の搭
 アルゴスにダナエという王女がいた。
 
非常に可愛らしい少女だったが、彼女には不吉な予言がついてまわってた。
  それは彼女が産む男の子によってアルゴス王アクリシオスが殺される、と言う事だった。
  ダナエはアルゴス王の娘なので孫が祖父を殺す事になる。 アルゴス王は自分の命惜しさに娘を監禁した。
  ダナエが閉じ込められた場所は日の射さぬ地下室であるとも、僅かに空が覗ける小窓があるだけの青銅の高い塔であるとも言われている。
 ここでは物語の展開上、搭で統一する。
 
監禁している間なら、どんな男もダナエには近付けない。
 
よってダナエが子を産む事はありえない。
  ダナエの監禁生活は未来永劫、死ぬまで続くように思われた。
  この決定に誰もが不服だったはずだが、国王の意見には逆らえる者がいなかったのだ。
  監禁されている間にダナエは美しく成長した。 しかし悲しいかな、その美貌を崇めるのは誰一人いなかったのだ。


クリムト「ダナエ」
  普通の人間の男ならダナエに会う事も叶わない。
  しかしそれでもこの薄幸の美女を見初めたのは神々の王ゼウス。
  人の目はごまかせても神の目はごまかせない。
  ゼウスは早速ダナエをものにすべく行動を開始した。
  ダナエが監禁されている部屋への出入り口には見張りがいて簡単には近付けない。
  しかしそれはしょせん人の知恵。
  ゼウスは雨に変身して小窓から降り注いだ。
  それは黄金色に輝く雨だった。
  普段滅多に美しい物に出会わないダナエはきらめく雨に喜び身体を思いっきり浸した。
 雨に化けたゼウスは難なくダナエの膝の間に流れ込んだ。
  こうして神と人は結ばれた。
  精神のともわらない愛であっても、この愛は実を結んだ。
  ダナエは妊娠したのだ。
 予期せぬ妊娠だったが、 ダナエは案外冷静だった。
  何しろダナエが身籠もったのは神の子なのだ。
 右のクリムトが描いた「ダナエ」。
 監禁中だというのに、実に安心しているような、それとも恍惚としているような表情でもある。
 画面左下の小さな長方形がゼウスの男根を表現してるとも言われている。


 続く

 

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