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FILE95 ヘクソカズラ Paederia scandens (Lour.) Merrill |
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| (Rubiaceae アカネ科) | |||||||||
| 日本全国どこへ行っても見られるお馴染みの植物です。 属名 Paederia はラテン語の「悪臭 paidor」に由来するとのことです。和名、ヘクソカズラ(屁糞葛)の名の元になった悪臭です。 その臭気のせいか、かの万葉集ではただ一首しか詠まれていません。 皀莢(さいかち)に延(は)ひおほとれるくそかづら 絶ゆることなく宮仕へせむ 高 宮王(たかみやのおおきみ) (サイカチの木にからみまといついているヘクソカズラのように、私はいつまでもお仕えしましょう) 万葉植物事典(北隆館)による。 万葉の頃はクソカズラと呼ばれていたが、後に「屁」も付け加えられたとのことです。 また、scandens は「よじのぼる」の意味で、つる植物であることを表しています。 |
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| 図1 藪を覆うように茂っている。というか、自分自身が藪だ。 |
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| 図2 臭そうな名とは異なり、花は輝くような美しさだ。柱頭が2個見える。 | 図3 お灸ごっこの材料としてぴったり | ||||||||
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| 図4 花柄(左)には毛が見え、花冠(右)にはぶつぶつがある。また、萼裂片にも白っぽいものが見える。拡大して観察してみよう。。 | |||||||||
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| 図5 花冠の外面のぶつぶつは泡のような丸っこい毛が密生しているからだ。 | 図6 萼裂片の白いものは、この形からいうと、毛ではなくて気孔のようだ。 |
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| 「ヘクソカズラ(屁糞葛)」という名前があまりにも気の毒だということで、別名のサオトメバナ(早乙女花)を普及させたいとの声を聞いたこともありますが、ほとんど普及はしていません。きれいな名前と言うだけでは一般的にはなりにくいのでしょう。「名は体を表す」ということもあるように、その名から特徴が浮かび上がるような名がやはり良い命名なのでしょう。私はヘクソカズラが好きです。 もう一つの別名である「ヤイトバナ(灸花)」は、花の中心部の赤いところを灸(やいと:お灸のこと)をすえた跡に見立てたものとか、あるいはこの花を逆さにして人の肌に伏せると灸をすえているように見える(図3)ことから付けられたとか言われています。 図説花と樹の大事典には、方言としてヒョウソカズラ、ウマクワズ (千葉)、クソネジラ(三宅島)、シラミコロシ(長野)、ラッパクサ(和歌山)、ヘクサンボ(高知)、テングサンノハナ(宮崎、鹿児島)などがあげられています。皆さんの地方ではどんな呼び方があるでしょうか。 |
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| 図7 葉は対生 | 図8 葉柄の根元に三角形の托葉がある | ||||||||
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| 図9 まだ合生していない托葉 | 図10 未完成の葉間托葉 | ||||||||
| 葉は対生で、葉柄の基部には三角形の鱗片様のものがあります。これは、左右の托葉(ここ)が合生したもので、葉間托葉または葉柄間托葉と呼ばれています。 私はこれまで「左右の托葉が合生したもの」という意味が分からなかったのですが、このたびの観察中に未だ合生していない未完成の葉間托葉を見つけることができ、納得できました。 いよいよ花の解剖です。 花には5本の雄しべがあり、段違いになってごく短い花糸で花冠の筒の内面に付いています。花冠の筒の中には腺毛が密生しています。 雌しべには2本の長い花柱があり、柱頭は透明な突起で覆われています。 |
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| 図11 花冠を切り開いたところ。5個の葯と2本のひものような花柱が見える。 | |||||||||
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| 図12 花冠の内面には多数の腺毛が生えている。 | 図13 腺毛の拡大 | ||||||||
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| 図14 腺毛に絡まるように雄しべの葯がある。 | |||||||||
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| 図15 雌しべの柱頭 | |||||||||
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| 図16 雌しべの柱頭のアップ。柔らかそうな突起に覆われている。白く丸いものは花粉。 | |||||||||
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| 図17 花冠が落ちたあとには萼が残り、萼に包まれた子房がどんどん発達して果実ができていく。 | |||||||||
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| 図18 若い果実を切断すると、中に2個の種子がある。 | |||||||||
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| 図19 果実は黄褐色に熟すが、果皮のように見える部分は萼の変化したものなので、偽果皮とよばれる。 | |||||||||
| 臭気、対生する葉(図7)、葉間托葉(図8)の3点がそろえば花がなくても「ヘクソカズラ」だと同定できます。 | |||||||||
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| 文献 | |||||||||
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