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FILE82 コオニユリ Lilium leichtlinii Hook.
fil. var. maximowiczii (Regel) Baker オニユリ Lilium lancifolium Thunb. (ユリ科) |
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| 図1 コオニユリ (平成14年7月24日 鳥越村綿ヶ滝) |
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| 図2 オニユリ (平成13年7月23日 手取川下流) |
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| コオニユリとオニユリについて、こうやって画像で見た場合には、私にはまったく区別できません。 詳細に観察すると異なる点もありますが、微妙であり、ここでは説明し切れません。同じところの方が多いので、本FILEは両種の違いというより、コオニユリもオニユリもこういうものだ、といった観点でご覧下さい。 では、コオニユリとオニユリへのご招待です。 |
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| 図18 コオニユリ(白山スーパー林道)。コオニユリとは思えないくらい巨大だった。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 図19 コオニユリ(白山麓)。花被の地が無色に近い珍しいタイプ。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 図20 加賀市加佐ノ岬の急斜面に咲くオニユリ |
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| 図21 海岸砂丘に群れ咲くオニユリ(松任市の海岸) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| コオニユリは石川県下各地に分布しますが、数は多くありません。石川県レッドデータブックでは、準絶滅危惧に指定されています。 特に、加賀地方の渓谷岩上には、葉の狭い「ホソバコオニユリ」と呼ばれる型のものが分布しています(図18・19)。また、特定の場所では、花被片の地色がほとんど無色の爽やかな感じのものも見られます。図19がそれですが、たいていは切り立った岩壁の高いところにあるので撮影は困難を極めます。 一方、オニユリは、人里近くに生育します。観賞用に栽培したり、「百合根」として球根を食べることと関係があるのでしょう。ヒガンバナと同様3倍体であるので種子はできません。代わりに葉腋にムカゴ(珠芽:しゅが)(図4)ができて、これがこぼれて繁殖します。自宅のオニユリもかつて、どこかから持ってきたムカゴから育ったものです。 一方、コオニユリにはムカゴはできません(図3)。 |
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コオニユリに関する新たな展開(2003年7月) |
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| 前にも述べましたが、オニユリとコオニユリはよく似ています。
私にはほとんど区別ができません。 唯一の頼りは、珠芽ができる〔オニユリ〕か、できない〔コオニユリ〕かで区別している有様です。(種子ができる〔コオニユリ〕か、できない〔オニユリ〕かも区別点ですが。) オニユリは石川県では、能登や加賀の海岸付近に多く見られます。壮大な株になりますが、ひ弱な感じの若い株でも珠芽はできています。 コオニユリは加賀地方の渓谷の岸壁で見られます。ここのものは葉がほっそりとしており、もちろん珠芽はありません。奥能登の日本海に面した岩盤には珠芽ができていないのでコオニユリと呼ぶしかありませんが、加賀地方の渓谷で見られるものと比べるとコオニユリと呼ぶのがはばかられるほどがっちりした太い茎をもつコオニユリが群生しています。先日(2003年7月16日)、取材したのが図22・23です。 |
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| 図22 奥能登の海岸の岸壁に咲くコオニユリ(2003年7月16日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 図23 奥能登の海岸の岸壁に咲くコオニユリ(2003年7月16日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| この時まことに残念なことですが、多数のコオニユリが引き抜かれて散らばっていました。詳しい経緯は分かりませんが、たぶん球根を採ろうとして引っこ抜いたが、採れずにちぎられたという感じで、数日経過したと見られる十数本の茎が散らばっていました。 |
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| 図24 ちぎられたコオニユリ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| コオニユリの木子 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| その断片を観察していると、なんと木子(きご)と呼ばれる無性芽が根の生えているあたりに付いているではありませんか
(図24)。 断片の様子からすると地中の部分です。白く小さな木子です(図24の左)。 中の1株には、赤く大きな木子がありました(図24の右)。地中の木子が何で赤くなるのだ? と大いに疑問でしたが、この株では地中茎(根茎)の一部も赤くなっていました。一見すると赤くない図24の左のコオニユリも拡大してみると図27・28のようにわずかに赤く染まっていました。 この疑問は、「ユリ根」を育てていた時に偶然、理解できました。 |
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| 図25 購入したなりのユリ根は白かった。(2005年12月25日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 図26 室内に放置しておいたところ赤く色づいてきたユリ根(2006年1月9日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2005年の12月25日に、近所のスーパーで「ユリ根」を購入しました。どういうユリが育つかを調べるためでしたが、そのまま玄関に放置し、2006年1月9日になってみたところ、芽も鱗片も赤く色づいていました。うち捨てられていたコオニユリの木子の色と同じです。 ということは、図24のコオニユリは、引き抜かれてから数日経過する間に、このユリ根のように色素が増えてきたということだったのです。 |
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| 興味があったので、失礼して被害にあわなかった株の根元を試みにそっと手で掘ってみました。根茎の近くに先ほど見た木子そっくりの小さな個体を見付けました(図29)。しかしこれが、親個体から離れた木子なのか、実生苗なのか分からなかったので、また土に埋め戻して置きました。今考えると、実生苗(若い株)だったら地中に完全に潜っていることはないし、葉が付いているはずなので、これはやはり木子だったのです。 コオニユリの根茎では、葉は枯れてしまっていますが、葉の付いていた節、すなわち、かつての葉の葉腋に木子が付いています(図30)。 |
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| オニユリの木子 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 図31 図21の自生地のオニユリの木子。5個の木子が見えている。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 自宅栽培のオニユリには木子が付いていなかったので、図21の自生地のオニユリで、失礼して、少しだけ根本の土をどかしてみました。5個の木子を見つけることができました。中でも、地表すれすれの位置に付いていた一番上の木子は緑色をして、根も出していました。 地上茎の珠芽が黒紫色であるのと比べて大変な違いです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ここで、ユリの根を勉強してみましょう。 コオニユリは石川県では、準絶滅危惧種に選定されていますから、採取ができませんので、自宅で栽培のオニユリの根を見てみましょう。 |
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| 図33 オニユリの根。この例では木子は付いていない。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ユリは地下に鱗茎(いわゆる球根)があり、この下部から根(下根)が出るほかに、鱗茎から伸びる茎の地中部分(根茎)からも根(上根)が出ます。 下根は収縮根でおもに植物体の安定を図るものであり、2カ年は生育し、上根はおもに栄養の吸収を行うもので、地上茎が枯れるときに一緒に枯れます。 また、根茎の所々に木子(きご:bulblet)と呼ばれる無性芽がつくことがあります。木子はできやすい条件というものがあるらしく必ず見られるというものではありませんが、オニユリにもコオニユリにも見られます。 オニユリのように地上茎の葉腋(ようえき)にできた無性芽は珠芽(しゅが:bulbil)とよばれ、木子も珠芽も葉腋にある腋芽が発達してできた小さな鱗茎と考えられます。
収縮根とは 秋になると、古い鱗茎(球根)はしぼんでしまい、その上に新しい鱗茎ができます。このようにして年々鱗茎を上方へ更新していくと、ついには鱗茎は地上へ出てしまうことになります。実際にはそうならずに、鱗茎はある程度の深さの所に留まっています。それは、根が収縮して鱗茎を下へ引っ張る働きをしているからです。このような働きをする根を収縮根といい、根の表面には収縮によってできた横しわが見られます(図34)。収縮根は球根をもつ植物には広く見られるものです。 |
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| 図34 オニユリの収縮根の拡大 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||