ジャーマンアイリス育種

ご無沙汰しております Name: masakato 2006-1-26 12:45:22/鳥取県
 


小山さん、こんにちは。
たいへんご無沙汰しております。園芸NLの花の集いに参加させていただき、初めてお会いさせていただきましてからもう1年がたってしまいました。その節は、いろいろなお話しをありがとうございました。ほとんどこちらへの書き込みはしておりませんが、いつも楽しく拝見させていただいています。

平成17年度はたいへんな年でしたね(まだ3月までありますが)。今さらながらのお話しですが、作場の移動等本当にご苦労されたと思います。何よりも、手塩にかけた植物たちを手放さなければならないというお気持ちは、それこそつらい
思いだったでしょうね。新しい作場はたいへんご立派ですので、これからとても楽しみですね。

私の方も、公的施設の民営化というながれに逆らうことが出来ず、どうやらこの3月で現在の植物園を追い出されてしまいそうです。公務員ですからどこでも移動があるのですが、大好きな植物に囲まれてやりがいのある職場でしたので、そうなってしまうととても残念です。何とか残りたいのですが、指定管理者制度という波は大きすぎるようです。全国の植物園さんでもずいぶんとご苦労されておられるようです。本来植物園とは国や自治体が責任を持って管理すべき分野だと
思うのですが・・・いかんいかん! これ以上つっこむとたいへんなことになりそうなので、この話題はここでおしまい。

つまらない話で終わってしまいますとよろしくありませんので、植物の写真をご紹介します。職場での専門のユリです。
これ、なんだかわかりますか? たぶんまだご紹介していないと思うのですが、実は朝鮮半島原産のマツバユリ Lilium cernum
の白花です。白花のアジアティックハイブリッドを作り出すための重要な種であったそうですが、実物をお目にかかることができない種類の一つです。ヨーロッパではそれなりに流通しているようですが、国内では保有しているところはほとんどないと思います。かのユリ協会のお膝元、百合が原公園の荒川克郎氏も実物どころかまともな写真すら見たことがないとおっしゃっていました。偶然にも当園が入手し、開花・展示を行うことが出来ました。原種ユリの超希少種の一つであると思いますが、あんまり宣伝すると盗まれそうでしたので、さりげなく展示していました(笑)。
白花と言うよりもクリーム色に近い感じで、わずかながら個体差がありました。残念ながら、種子をとることが出来ませんでした。比較的維持の難しい種ですので、現在も残っているかどうか心配でしたが・・・大丈夫でした、いくらかは残っているようです。

こういった原種の保存はたいへん大切ですので、原種ユリの収集・保存・増殖を引き続き園として取り組んでいくつもりです。その意識が強い職員もしっかりと残ります! 将来的には、当園自生ササユリの種子からの増殖球や貴重な原種ユリの増殖球を園内のショップ等で販売できるように現在鋭意取組中です。ユリについて、百合が原公園さんと並び称される園になるように頑張りたいですね(自分がいる/いないは別として)。

Re: ご無沙汰しております Name: masakato 2006-1-26 13:00:09/鳥取県
 


すみません! ものすごく画像が大きかったです!

職業としてはユリなのですが、個人的な趣味としてはアイリスですので、それもちょっとご紹介。写真のものは、私の実生個体です。オレンジセルフ通しを交配したものから生まれました。MK03-18Cという番号をふって管理しています。交配様式は、Quito(Ghio,1993;少し茶色がかったオレンジ)×Fringe Benefite(Hager,1988;オレンジセルフ、レース弁)です。オレンジ色の発現は劣勢ですが、オレンジ色通しを交配していますので後代も全てオレンジ色でした。こんなのはいかがですか? 画像では良さそうに見えるけど・・・実物はどう判断されるのかなぁ? 興味のある方に実際に栽培してもらうのも手ですね。

ちなみに、園芸NLの件で、後ほどメールをお送りさせていただきます。この写真を掲載した意味がわかる??(意味深な言葉・・・)。

Re: ご無沙汰しております Name: 小山 2006-1-26 14:22:05
  masakatoさん、こんにちは  本年も宜しくお願いいたします。
ちょうど今、masakatoさんご提供予定のジャーマン25交配種子リストを50号掲載用にワードで作っていたところです。
提供No、♀と♂の情報、種子数、交配のねらいを載せます。交配親情報2図は、載せきれないので、種子をご希望の会員に直接郵送します。今、本部の中村さんにメールしたところ。偶然ですねぇ〜(笑)
これから作場に出ますので、個体への御返事は夕方にでも。取り急ぎ〜

Re: ご無沙汰しております Name: 小山 2006-1-26 17:18:41
  こんにちは、作場から戻ってきました。
今日はヤマラッキョウの種子を採集して取り播きでした。寒い性もあって余り園芸作業はありません。毎日の管理主体です。

このマツバユリの白花、初めて拝見しました。素晴らしい花姿、大きめの画像で貼っていただき感激です!
戦前国内だった朝鮮半島からは、色んな植物が導入されていますが、戦後は余り聞きません。というより、山岳地の多い半島北部とは国交すらありませんしね。以外と身近な隣の国ですが、植物の行き来は無いようです。
種子が採れなかったとのこと、栄養系だけだと、維持保存が大変ですね。
冷帯〜温帯ユリの百合が原公園、温帯〜亜熱帯ユリの鳥取花回廊、二大勢力が競い合う時代が愉しみです。それこそ園芸品種のユリ公園は多々ありますが、原種系となると本ちゃんの植物園にはかないませんね。

指定管理者制度、千葉県の南房パラダイスでもその話題が出ました。新しい受け皿で、はたしてこういった原種がきちんと保存され、植物園同士の個体交換、共同研究が可能なのであろうか? 動植物園、博物館、美術館とは利益追求だけではないはずなのだが。。。
理科・生物教育の野外実習場所として、植物園は最適なはず。また、緑の憩いとしての福利効果、災害時の拠点など、様々な利点があるわけで、経済性追求だけで推し量って欲しくないというのが、利用者の実感ですね。
自治体の植物園は、のきなみ民営化して綺麗なお花の植物公園。大学の植物園しか残らないというのは、寂しすぎますねぇ。

MK03-18C 小生はオレンジ色の発色が良く、良い試作個体だと思います。18Aや18B、そして両親を拝見してみたいです。
18Dもあるのかな〜
まだ企画段階ですが、園芸ニュースレター53号が『アイリス特集』ジャーマンを初めてまともに取り上げる予定です。なんたって虹の花ですから、カラーページをふんだんに使いたいものです。嗚呼、予算が〜〜(激爆)

Re: ご無沙汰しております Name: 宮崎 2006-1-26 19:33:15/愛知県
 


指定管理者制度というのはあちこちで問題になっていますね。植物園も含めていわゆる社会教育施設がこれに馴染むのかどうか疑問に思っています。
ボランテアに行っている博物館でもこの問題が少し話題になりましたが、そこではまだその方向はないという事で少し安心しています。この博物館はさいわい所謂里山に囲まれた立地条件にあるためにこれを生かす方法があるのではと、こんな方向はと提案しています。
それは博物館と植物園を融合したもの、つまり県内の生きている植物の展示も含めてやったらどうか、ということです。
岐阜県は標高が0mから3000mまでありますので全ての植物を植えるということは不可能ですがある程度のものは可能です。そうすれば標本情報だけでなく生きているものも見られるわけですから教育的価値はかなりあると思います。
かなり実現性もあるようなので少しずつ具体的な計画を立てようと動き始めています。あまりにも手を拡げ過ぎると何もかも駄目になりそうですが、やれることはどんどんやっていこうと思っています。
画像は実生2年目で咲いた、
L. philippinense です。

母親;Quito Name: masakato 2006-1-26 23:12:57/鳥取県
 


小山さん、こんばんは。宮崎さん、初めまして。
指定管理者制度は本当に困ったものです。宮崎さんがおっしゃっておられますとおり、「指定管理」という名前の元に、ただ単なる補助金減らしや経費削減の手段であり、植物園や動物園、博物館等の社会教育施設にとってはかなりつらい制度です。園に属するものがそのような発現はいけないのでしょうが、納得いかないのも事実です。こういった分野の文化レベルの著しい低下が懸念されて仕方がありません。

堅い話なってしまいました。すみません。
宮崎さんのL. philippinense
は、実生2年でも本当に見事に開花していますね! 貴重な種類をよくぞお持ちで、しかも実生で開花させていらっしゃるとは素晴らしいですね! 本種は非常に大柄になりますね。それに、花弁が少しよじれる癖がありますね。そう考えますと、テッポウユリは整った花型ということで世界に広まったのかもしれませんね。「白」という色にこだわりますと、マドンナリリーの「白」は本当に美しい澄んだ白花です。どれが良いとはなかなか一概には言えませんね。好みの問題でしょうね。

さて、題名のアイリスが最後になりました。小山さん、私の稚拙な実生にもったいないお言葉をありがとうございました。あの実生、私も結構気に入っていました・・・昨年までは。実は、大きな欠点を昨年発見しました。強烈な日差しで、あのオレンジが退色してしまうことがあるのです。過去2年間は全く問題なかったのですが、昨年とても強い日差しがあたったときに、その症状が現れました。これがこの実生に名前を付けられなくなった理由です。実は、母親であるQuitoにその傾向があるのです。残念ながら、親の悪い形質も受け継いでしまったようです。ただ、それ以外はなかなか良い性質を持っているようで、花型も整っていて花数も標準です。性質は中程度ですが。それで親に使うことにしたのです。僕自身も本当は後代を見てみたかったのですが・・・
その、母親はこの画像の通りです。弁元がかなり赤茶色をしていますが、この花の育種家J.Ghio氏が得意なフリルの強いラッフル弁花です。色味は少し好き嫌いが分かれそうですね。

あ、今気づきました。お送りしてありますリストにこのMK03-18Cの情報がかけていました! 他にも脱落発見! すみません。送り直しますね。

父親;Fringe Benefits Name: masakato 2006-1-26 23:23:40/鳥取県
 


これが父親のFringe Benefitsです(綴りはこちらに直してくださいませ・・・)。
有名な育種家であった故B.Hager氏の傑作オレンジ花です。氏はVanity(1975), Beverly Sills(1978)といったピンクセルフでダイクスメダルを受賞した方ですが、あらゆるアイリスに精通しており、もちろんジャーマンアイリスでもピンクだけでなくいろいろな素晴らしい色彩、花型の品種を作出しておられました。このFringe Benefitsは花がやや小さいという欠点があるものの、その色彩と繊細なレース弁は特筆に値します。これほどのレース弁オレンジ花のジャーマンアイリスはほとんどお目にかかれません。「オレンジ色」も「レース弁」も劣性ですので、計画的に育種しなければ出来ない組み合わせです。まさにねらいどおりのものができあがったのでしょうね。
残念ながら、画像があまり良くありません。一昨年、「世界のアイリス」用に必死で写真を撮っていた頃を思い出しました。
質の問題で、採用されなかった写真のうちの一つです。

MK03-18A Name: masakato 2006-1-26 23:31:09/鳥取県
 


ご希望どおり、兄弟実生を紹介します。
MK03-18Aです。これも、種子リストに載せた25交配の片親に使われています。こちらの方がやや強健ですが、色あせる性質は同じでした。昨年のその時期はいろんな品種ものもやられましたので、ある意味仕方なかったのかも・・・選抜当初は、18Cよりもこちらを若干高く評価していましたが今では逆転してしまい、昨年交配親に使った後廃棄してしまいました・・・18Cはかろうじて残っています。

MK03-18B Name: masakato 2006-1-26 23:34:35/鳥取県
 


これは、番号を付けたものの、すぐに処分してしまった実生です。色は母親似でしたが、花型が・・・
記録として画像は残してあります。

MK03-18D Name: masakato 2006-1-26 23:43:42/鳥取県
 


オレンジばかりですみません。これで最後です。
18Dは、選抜当初はなかなかのものだと思っていましたが、軟腐病であえなく☆の彼方へと旅立ってしまいました。これまた記録のみの実生です。
他にも18Eまで一次選抜しましたが、Eは平凡ですので画像はひかえます。結局のところ、現在まで残っているのは最初の画像の18Cだけとなっています。それもいつまで残すかは??? 誰か育種母本として引き取って頂けないかしら・・・こんなつまらないものはいらないでしょうね。
いつも、「育種とは捨てること」という言葉を思い浮かべつつ、泣く泣く処分しているmasakatoです。結局私は選抜のセンスも良い方だとは思えないし、育種には向いていないのでしょうね。そう思いつつも交配は続けています・・・

Re: ご無沙汰しております Name: 小山 2006-1-28 10:17:38
  宮崎さん おはようございます。
Lilium philippinense 実生二年で開花ですか。タカサゴも含め、南方のユリは開花が早いですね。そろそろユリ協会の種子配布時期がやってきます。今年は遅発芽タイプを中心に頼んでみようと思っています。
先日、新年会で蓼科ガーデンの小澤女史とお会いしました。冬場は東京でお花やさんだそうです。宮崎さんご提供の、ユリの苗など楽しみにしているとのことでした。小生の作場でも、スイセンやキオノドクサ、スキラなどを初夏に堀上げてお送りする予定です。彼の地の方が、良く増えて群落になってくれるでしょう。

指定管理者制度、富山中央植物園でも管理媒体募集中とか。植物に詳しく、栽培の腕も確かなNPOって、はたしてあるのだろうか?
どこもかしこも、花付きポットもので飾り立てた客寄せ植物公園になってしまっては、前途暗いですね。宮崎さんの温められている岐阜植物誌見本園構想、似たようなものが千葉中央博物館生態園にあります。千葉県は高山植物がありませんから、比較的容易だったのでしょう。海浜植物、広葉樹林・照葉樹林を復元したコーナー、湿地帯、台地の原っぱなど、地形の高低を利用して、千葉県の植物が旨く植栽されています。また、本館内には、千葉県植物誌編纂に使われたらしい多くのさく葉標本が展示され、だれでも間近に調べられます。
最近、此処に植えられていたオミナエシが問題になったとか。。。詳細はおーばさんに聞かなくては判りませんが、いったい何があったのだろう〜

Re: ご無沙汰しております Name: 小山 2006-1-28 10:47:07
  masakatoさん、こんにちは〜
素晴らしいオレンジ・ジャーマンの数々、堪能させていただきました。イリス属は不勉強で的確な御返事が出来ず恐縮ですが、MK03-18Aは、なかなかに良い個体だと思います。このオレンジ同士の交配だと、F1は全てオレンジなのですか。レース弁が劣性とのこと、F2になると旨く出てくるかもしれませんね。
強光による脱色ですが、暖色系では止む終えないかも。むしろ、脱色を織り込んで薄目のアプリコット色の選抜も面白いかもしれません。弁質を厚くする育種が可能なら、濃色も可能なのかな。

しかし、軟腐病との戦い、ご苦労様です。千葉でも長年露地植えしてある非常に古い無銘の品種を良く見ますが、嫌地も起こさず元気です。こういった血を入れると良いのでしょうが、色幅が青中心なので、オレンジには馴染みませんね。ゲルマニカ系との戻し交配も試してみる価値はありそうですが、耐病性の把握は試験栽培が必要で、アマチュア育種の域を超えますね。

美しい花を見いだしていく選抜眼や育種目標、みなさんそれぞれが独自の基準をお持ちと思います。是非頑張って良い花を作ってくださいね。種子リスト、50号用に加工を終えてます。05TB64、05TB80、05TB103を20粒ほど譲り受けて、ハウス内で作ってみたいと考えています。
 


斑入りジャーマンアイリス実生 Name: masakato 2006-2-6 10:31:42/鳥取県
 

小山さん、皆さん、こんにちは。
家族旅行やら差し迫った仕事やらで、なかなかお返事等々が出来ませんでした。
今晩でもあらためておじゃまさせていただきますね。

ちなみに画像はジャーマンアイリスの斑入り個体です。私の実生でございます。昨年11月撮影ですが、おそらくこの春に開花すると思います。母親に斑入りで濃紫色セルフ(花型は非常に単純)の品種・Zebra Night(Kasperek 1998)を使い、父親に上弁白色、下弁黒紫色(ブラックアモエナ)の名花・Starring(Ghio 2000)を使ったので、花も期待しています。
今回がダメでも、F2で良いものが出ればいいですね。

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: 小山 2006-2-6 11:31:04
 

masakatoさん、こんにちは
斑入りのカキツバタやニワセキショウ、シャガ(画像)などは承知していましたが、ジャーマンにも斑入り葉個体があったのですね。常緑で、葉の大きな植物ですから、斑入りのメリットは大きいです。
これで花が見事だったら、云うこと無しですね。今年の開花が愉しみです。

masakatoさんの交配整理番号にはMK05-○○と05TB-○○がありますね。前者は開花時の選抜番号、後者は交配時の種子番号と理解して宜しいのでしょうか。
いくら生長が早いといえ、2005播種では咲きませんもんね。(笑)

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: るな 2006-2-7 13:32:35/埼玉県
  初めまして、masakatoさん♪
小山さん、お久しぶりです♪
斑入りジャーマンアイリス、実生!!という事で、
ここまで大事にお育てになって、いよいよ開花間近!!
どんなに嬉しいお気持ちかな〜と思い、思わず
カキコしてしまいました!
斑入りのジャーマンアイリスは、私、育ててみたい
憧れの花のひとつです。
開花、すご〜く楽しみですね〜♪

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: masakato 2006-2-8 20:43:02/鳥取県
  小山さん、皆さん、こんばんは。
今日は、8日。お約束の時間を2日も過ぎてしまいました・・・なかなか思うように時間を作れていない自分がちょっと悲しい感じです。小山さん、ジャーマンの種は明日に本部の方へ発送しますね。遅くなりましたが・・・すみません。

るなさん、はじめまして。
私のつたない実生ジャーマンに反応して下さってありがとうございます。斑入りのジャーマンは昔からいくつかあります。最も流通しているのは I.pallida の斑入り選抜品種の'ARGENTEA'や'ZEBRA'でしょう。日本では、後者の方が良く目にします。ですが、これらの品種は葉姿は綺麗なものの、こと花という面で見ると非常に単純な花型をしているので、現代品種の華やかさに慣れてしまった人たちには物足りない感じがします。そこで、一部の人たちが花型の改良を目指して交配を繰り返しています。私が交配の母親に使用した品種が、その数少ない斑入りハイブリダイザーの作出品種です。

Zebra Nightは、アメリカ・ユタ州でアイリス農園を経営しているBrad KasperekとKathie Kasperek夫妻のガーデンで発表された品種です。そのガーデンは、名前もZEBRA GARDENといって、主に花に絞り模様のはいるブロークンカラー(BC)と呼ばれる色彩パターンの花を改良しています。その傍らで、斑入り品種もいくつか発表しており、最終的には斑入りBCを作出したいというのが目標のようです。これは、彼ら夫妻の前に、BCの改良に大きく寄与してきたAllan Ensminger氏が持っていた目標と一致しているようです。Ensminger氏の有名な品種は、日本でもよく流通しているBatik(1986)という品種で、少し草丈が低いボーダー種(BB種)ですが濃紫色に白色の霜降り模様が入る美しい名花です。

Kasperek夫妻が発表した斑入り品種は現在までに7品種有り、私はその全てを手に入れていました。ですが、やはり斑入り品種・・・通常の品種よりも弱勢のようで、そのうちいくつかはなくなってしまいました。Zebra Nightは、これらZEBRAシリーズのなかで最も強健な品種で、栄養状態が悪いと小さくなりますが、それでも軟斑病に侵されることも少なく、よく頑張っている品種です。ただ、いくつか問題もあり、最大の問題は斑の安定性にややかけることと、花型が非常に単純であると言うことです。花型の問題はどの品種も同じで、まるで1960年代の品種のように単純なものですが、斑の安定性についてはかなり考慮しないといけない問題でしょう。この品種が強健なために、芽吹きが良くてその中に青葉が出てしまうこともたまにあるのです。また、斑の入り具合もやや少なめで、私の実生にもその形質が遺伝しているのかもしれません。

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: masakato 2006-2-8 20:44:24/鳥取県
 

ジャーマンアイリスは良い花だけど軟斑病に弱いと言う欠点があります。ですが、高冷地ではその危険性も少なく、軟腐病さえ克服できればたいへん強健な花でよいと思うのです。ですが、軟腐病の克服はジャーマンアイリスの改良を心掛ける上で大切なファクターですが、それ以外にもなかなか広まらない原因がいくつかあると思うのです。

その一つが、大型植物の上に開花期が非常に短い、という問題です。その問題があるために、なかなか庭でも使い勝手が悪く、軟腐病でどうせダメになるなら植えるのやめよう、ということになるのではないでしょうか? その欠点を少しでも解決の方向へ向かわせるためには、これらの斑入り種の改良や、秋にも開花する性質(二季咲き)の確実な発現ということになりそうです。
その目標のために、3年ほど前から斑入り種や二季咲き種の交配を試みています。まだ駆け出しですので、結果等もなく、当然それらの分析・解析など全く出来ませんが、こうして実生で斑入りも出ましたし、もちろん二季咲きの実生もいくつかあります。
斑入りの交配はいくつかしましたが、実際に斑が出たのはこの交配のみで、あとは青葉と白子に分離したり、全く種子がとれなかったりと気むずかしいところがあります。親の維持もなかなか難しく、何年たっても結果が出ないと言うことも十分あり得ますが、少なくとも少しずつでもチャレンジしてみるつもりです。

二季咲きについては、いくつか面白そうなものも出始めています。性質が強健がどうかということがずいぶんと問題になりそうですが、一応私が交配しても二季咲きの性質はきちんと発現するのだということがわかり、内心喜んでいます。あとは、どれだけ日本のこの気候でコンスタントにその性質を発揮してもらえる品種をつくることが出来るかということになると思います。
場所の問題もあり、遅々として進まないジャーマンアイリスの改良ですが、20年、30年かけてでも頑張ってみたいものだと考えています。継続こそ力なり!

長くなってしまってすみません。画像のものは、同じ交配の兄弟実生です。この交配では、17,8の個体のうち、4個体に斑入りが出ました。斑がない個体でも、花が良ければ次の交配につかえるかもしれないと思っています。
最終的には、都会地での栽培も考えて、「ミニ+斑入り+二季咲き」なんていう品種ができたらおもしろいでしょうね。現在ミニ種には斑入り個体がないので(もしかしたらどこかで眠っているのかもしれませんが)、現実的には本当のミニの斑入りをつくることは染色体数の問題もあり困難かもしれませんね。

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: るな 2006-2-9 02:58:57/埼玉県
  夜分遅くに失礼します。
masakatoさん、斑入りジャーマンアイリスについて、色々教えてくださり、本当に感謝です。すご〜く勉強になりました。
また、masakatoさんの情熱に、感動致しました。そして、
>最終的には、都会地での栽培も考えて、「ミニ+斑入り+二季咲き」なんていう品種ができたらおもしろいでしょうね。
というお話!!すご〜くステキですね!
masakatoさんたちのような方々の情熱のおかげで、今、私みたいにベランダだけでも美しい数々の花たちを楽しむ事ができてるんだな〜と、すごく嬉しくなりました。

Re: 斑入りジャーマンアイリス実生 Name: 小山 2006-2-9 18:13:47
 
こんにちは〜

>るなさん
おっしゃるとおりですね。多くの育種家、栽培家、プランツハンターなどの成果として、今の園芸品種が成立しているわけです。育種というのは、けっして大企業や大手種苗会社だけの力で進むものではなく
欧米でも日本でも、アマチュアの地道な努力が大きな原動力ですね。

>masakatoさん
お時間を割いての貴重なコメント、ありがとうございます。
なんとなく予想はしていましたが、斑入り個体は性質が弱いのですね。また、花型も単純と云うことであれば、これからの育種素材として、可能性は大いにあると思います。斑入り園芸品種の場合、一般には斑の不安定さを出さないため栄養系で増やすと思いますが、ジャーマンの場合は実生で安定した斑を発現させるのが、目的なのでしょうか?
それと気が付いたのは、イリス属の場合、しっかりした育種情報が得られるという確かさが実に良いですね。欧米に協会があり、園芸品種登録をしているおかげだと思いますが、こういう地道なデータベースがあるからこそ、アマチュアでも、しっかりとした方向を見定めて育種が出来るのでしょう。

書いていただいたオレンジ作出、斑入り作出の短報、このまま過去ログに流れてしまうのは余りにも惜しい。
画像と文章を少し編集して、コンテンツにしてみたいと思います。