植栽工事
 (某結婚式場、洋風庭園植栽工事)



「結婚式本番までに間に合わせてくれ」

元請け会社を通して結婚式場から期間限定で工期厳守で仕事の依頼がきたのは
式本番2週間前だった。
図面と内訳書を見て内心「こりゃ無理だわ」と思った。
更に、現場を見に行って頭を金属バットでガツーンと食らった様な打撃を受けた。

まだその時点で他の業者も脂汗かきながら作業をしてるではないか!
(まあこれは、突貫では毎度の事だが)
電気屋に左官屋、タイル屋、水道屋。それにタキシードを着た2枚目も現場をうろちょろしている。
こりゃ絶対無理。

そう監督には言いたかったが、監督の焦りで悲痛な表情と「胃が痛い」ということを聞いてたので
喉まで出かかったが、グッと堪えた。
しかしやらねばならない。不可能を可能にしなければならない。
材料は、元請け会社が取り寄せる。いわば支給材ってやつ。



メインになるグリーンコーンの運び込み 西洋芝の荷下ろし


取っ掛かりの当日、不可能な仕事に追い討ちをかけるような予想外な寸法の樹木が届いた。
図面でH=3.5mのグリーンコーンがオーナーの要望で急遽5.0以上の立派なものに変更されてたのだ。
1m以上違えば根の大きさも手で持ち上げられるサイズからクレーンでなければ
吊れないサイズになってしまう。
現場は既に塀で遮蔽され、植え込み地近くまでユニックが入れない。
全て材料は公道で下ろしてからの手運びになる。
なんとか全員で4輪車&ネコで運んだ。既にこの時点で皆、疲労困ばい。



「えーと、木の表はコレでいいのかな?」
頑張れ新人君!

洋風庭園(イングリッシュガーデン)の木なので見慣れない木(コニファー)もある。
だけど、どんな木にも表と裏がある。
それを見切って植える。それから後から設置する硬いもの(噴水や平板、オブジェなど)も頭に入れて
植栽していかなければ、植え直しという二度手間をすることになる。
この二度手間、このような突貫工事では絶対にあってはならない。
残された時間は刻一刻と迫り短縮されていくのだから。




この結婚式場の庭は、「イギリス館」と「フランス館」という名の建物の前に有り、
花嫁さんがウェディングドレスで庭を花婿さんと散策するらしい。
だから植え込んだ木の支柱は、極力、いや出来たらしないでくれと監督は言う。
ウェデングドレスが引っかかってスッ転んだら縁起でもない。
2人の記念すべき第一歩なんだから・・・・・らしいが・・・・・
それから景観上?も考慮に入れて支柱はしないでくれという。

だけど木は、そんな事知ったこっちゃないんだよね。
生き物である樹木や植物は、別に人間の為に生きてる訳ではない。
人間が植物を利用して都合のいいようにいじくり回しているのだ。

植木屋は、そんな植物達の生きる手助けをしてやらなくてはならない。
移植する木は、根を活着させて新芽を出させてやる為にしっかりと木を固定してやらなければならない。

そういった支柱を見せない設計の時、我々は「地下支柱」というのをやる。
根を金属の金具で固定して埋め戻し、ふらつかないようにする。

最近の地下支柱は色んなタイプのものがある。
昔は、ワイヤー系のが主流だったんだけど。
今回は、大中小と5タイプのものを使った。

植え込む植物も設計で多種多様。
これだの種類だけど、図面と照らし合わせきちんと整理して植え込むと、まとまってくる。
時には、配植を変更したりする。

下記の表が今回使用した樹木と草花
樹種名 一言
グリーンコーン ニオイヒバ系のコニファー。特有の心地よい香がする。
常緑ヤマボウシ ヒマラヤヤマボウシとも言い、黄色い花を咲かせる。
ゲッケイジュ 月桂冠でも知られ、葉は香辛料になる。
ザイフリボク 別名シデザクラ。4月半ばに白い花を咲かせる。
ヤブツバキ 一般的なツバキ。園芸品種の基本種。
シラカシ 葉の裏側が白っぽい。ドングリがなる。
タイサンボク 北アメリカ原産のモクレン。
ミカン 言わずと知れたミ・カ・ン
レイランディー ロウソク状に仕立てて観葉鉢物にしたり、生垣などにも適す。
ガクアジサイ 葉に、有毒物質が含まれていて、虫に食べらる事は無い
ナツツバキ 夏椿。シャラですシャラ。
ライラック 別名ムラサキハシドイ。花色は大体薄紫か白。
イチジク 無花果と書くように実はじつは花。
ベニバナトキワマンサク 濃いピンクの小さな花を咲かせる。マンサクの仲間。
セイヨウシャクナゲ 多数の原種を用いて交配された園芸品種。
フイリナワシログミ 暖地の海岸近くに多い常緑低木
キンメツゲ 5月頃新緑が黄金色になるツゲ。
ビョウヤナギ 中国原産の半落葉の低木。黄色い花を咲かせる。
セイヨウイワナンテンレインボー 小さめの株の新葉はクリーム色で葉先がピンクを帯びる。
コデマリ 細い枝に群れて咲く花の塊を手毬に見立てた名付けである。
カシワバアジサイ 展開した葉は柏によく似ている。
テッポウユリ 切り花用としてもっとも多く栽培されている。
カサブランカアカバメギ ユリの一種。
フェイジョア 果実はパイナップルのような香りがあり、生食したりジャムに加工する。
ユリオブスデージー キク科の宿根草。花期は11月から4月。
アジサイアナベル アジサイの一種。
メキシカンブッシュセージ 赤紫色でビロードのような花を咲かせる。ハーブの一種。
ツボサンゴ 丸い葉っぱから細長い茎を伸ばし、釣り鐘状の赤い花をつける。
フィリフェラオーレア 葉先が黄金色の別名オウゴンヒヨクヒバ。
ニューサイラン 盛花に使われる。葉から繊維を取ってロープ等になる。
アルケミラモリス 消炎作用や殺菌作用があるハーブ。
リシマキア 夏間、地面を這うように黄色い花を咲かせる。
アジュガ 別名、十二単(じゅうにひとえ)日陰でも逞しく育つ。
ヒマラヤユキノシタ 春先早く,手のひら大の大きな葉から綺麗な花が咲く。
アカンサス 葉は日焼け,火傷の薬用になる。
ローズマリー 枝や葉を香料に用いる代表的なハーブ。
ラミウム 冬の室内インテリアとして鉢などによく植えられる。
西洋芝 1年中緑の芝。





シンボルツリーとして10mを超すシラカシを一番最初に立て込む。(フランス館)
塀が出来てるので公道から50tのラフターを使って吊り込んだ。




空飛ぶダンボ?・・・いやユンボ

ユンボ(バックフォー)もラフターで吊り込む
この時は、16tのラフター。




チョット一服
突貫でも休憩はいれないとね。




雨にも負けず、雪にも負けず
ラティスフェンスを取り付けてるところ。(イギリス館)



ナイター作業の日が続き、ラストスパート時には、20人ほど応援を頼んで
なんとかケツをあわせました。疲れました。

でも突貫は出来ればやりたくありません。
疲労が溜まり、焦りと苛立ちでケガをする可能性が高くなるからです。
追っ付け仕事にはしたくなかったので植えれば良いやという仕事はしませんでした。
突貫にしては、まあまあ満足した出来栄えでした。


アルバムに施工後の写真を入れてあるので見て下さい。


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